黒潮を望む地に

社会福祉法人黒潮園がある和歌山県新宮市は、歴史と文化・世界遺産のある街として国内のみならず海外からも多くの観光客が行き交う文化都市です。
また、当園から一望できる太平洋には黒潮海流が間近に流れ、一年を通じて温暖で暮らしやすい地域でもあります。

熊野速玉大社

熊野本宮大社・熊野那智大社と共にユネスコ世界遺産に登録されている熊野速玉大社は熊野三山の一つとして熊野信仰の拠点のひとつでもあり、主祭神は熊野速玉大神・熊野夫須美大神。境内には国宝「古神宝類」をはじめ、多くの坐像が収められています。また、平重盛が植えたと伝えられる「梛の大樹」は国の天然記念物にも指定されており、今もなお多くの参拝者を出迎えてくれます。また毎年10月の例大祭には古くから続く御船漕ぎ競争が熊野川で行われています。

山は火の瀧、下り龍

熊野速玉大社の摂社である神倉神社は、神倉山の中腹にあり、御神体である「ゴトビキ岩」と言われる大きな岩の所に建てられている神社です。古くは神武東征の頃から日本書紀に記されている所でもあり、神社へ登る538段の石段は源頼朝が寄進したものでもあります。毎年ここ神倉神社では2月6日に御燈祭りが行われ、角界の著名人をはじめ約2000人の昇り子によって松明に神火が燈されます。またその光景は新宮節の一節に
「御燈祭りは男の祭り、山は火の瀧、下り龍」と唄われる程です。

文学者の故郷として

熊野速玉大社の直ぐ脇に、東京都文京区関口町にあった文豪・佐藤春夫邸が佐藤春夫記念館として移築されています。当時のモダンな雰囲気を味わう事のできる館内には佐藤春夫本人が生前使用していた愛用の品や「わんぱく時代」の原稿、1960年(昭和35年)秋の叙勲で受章した文化勲章等も展示されています。
また、新宮市出身で戦後生まれにして初の芥川賞である中上健次に関する資料は生前使用していた遺品とともに丹鶴ホールに常設展示されています。

芸術家・教育者の故郷として

JR新宮駅から徒歩五分の所に、文化学院(東京都千代田区)創設者であり建築家の西村伊作邸があります。邸宅は大正時代の建築当時のものが殆ど残されており、現在は国の登録有形文化財に指定されています。邸宅は当時の文化人とも縁があり、与謝野鉄幹・晶子夫妻や石井伯亭なども度々訪れた場所です。

日本遺産・鯨のまち

江戸時代の初期より熊野地方で盛んに行われていた捕鯨のカタチを踊りにした「捕鯨踊り」が新宮市三輪崎に今もなお伝承されています。この踊りは二つの踊りから成り、鯨を網で囲う模様を踊りにした「殿中踊り」と、鯨をモリで突く模様を踊りにした「綾踊り」とがあります。この二つの踊りは総称「三輪崎の鯨踊」として文化庁の日本遺産に登録されています。毎年9月の三輪崎八幡神社例大祭にて披露されています。